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ハンマー音頭の写真日記

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2010年 01月 20日

曙杉(アケボノスギ)




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近頃ハンマー音頭のお気に入り。それが曙杉です。
針葉樹なのに秋に紅葉して葉を落とす。落葉針葉樹というやつです。
公孫樹が沢山の黄色い葉をいっぺんに落とすのもびっくりしますが、曙杉もそれなりに大量の葉を落とします。ただ、なにしろ針葉樹ですから細くて、量も公孫樹ほど大量にあるように見えません。

冬になって周りの木々も葉を落とすと、背の高い曙杉のすっきりとした三角錐の姿が浮かび上がります。昔々幼い頃にお絵描きで木々を描くと、なぜかこの形でした。




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ある日職場の外で煙草を吸っていると、目の前100メートルほどの距離に、この三角錐が2本、他の木々を頭一つ飛びぬけて立っているのに気付きました。あれ、曙杉だ。眼を更に遠くにある丘の上に向けると、そこにも飛び出すように背が高い三角錐が4本、明るい茶色の姿を見せていました。あれも曙杉に違いない、と思うと、酷く嬉しくなりました。

なぜって、この数ヶ月、少しでも樹木の名前を覚えようと、色々苦労を重ねてきたのですが、思った程の効果が上がらず、ちょっとがっかりしていたのです。曙杉は、遠く離れていても、その姿だけでそれと分かったのですから、苦労が初めて目に見える形で報われた気がしたのでしょうね。

昨年の12月下旬、再び宮が瀬ダム下流にある神奈川県愛甲郡愛川町の半原で遊びました。そこの「愛川ふれあいの村」という、雑木林を利用してキャンプもできるし、野球やサッカーも出来る愛川町のスポーツ施設で、曙杉の並木に出会いました。曙杉という和名より、メタセコイアの名前の方が良く知られていますね。

メタセコイアといえば、戦前に木の化石として発見されています。日本各地で化石が見られることから、200万年前ぐらいまでには日本に沢山生えていたのでしょう。でも、昭和の時代には一本もなく、絶滅した過去の木と思われていました。ところが中国で原生種が発見され、昭和24年に日本にも移植された模様です。当時、私はとても幼かったのですが、新聞が取り上げて「生きた化石」として曙杉を紹介しました。メディアは新聞とラジオの時代ですから、多くの人たちが揃って読んだり聞いたり、互いに話して大いに人気がでたようです。それから数年後の中学生の頃、私のジェネレーションの少年達は皆、メタセコイアの名前を知っていました。きっと、親から聞いていたのでしょう。メタセコイアは中国でも数が少なかったようで、日本で人気が出たこともあり、保存運動が起こったようです。中国から種子をわざわざアメリカに送って育て上げ、それを日本に盛んに移植して日本各地に植えられ、今やあちこちの公園や街路種で見ることができるようになったという背景があります。

因みに日本にある曙杉で一番古いものは昭和24年(西暦1949年)に移植されて皇居に植えられた2本のメタセコイアだそうです。1949年ですから、せいぜい樹齢61年で、これが最古です。それにしては、どの曙杉も背が高い。30メートルはありますね。ということは、曙杉の生長はとても早いのだと思います。


3 小楢(コナラ)の林
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愛川ふれあいの村は山の斜面にあって、登って行くと雑木林にはいります。そこで猿たちが遠く山の方へ去っていくのを見ました。見上げると、小楢の冬の姿はこんなもの。雑木林が明るくなるのももっともです。



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ふれあいの村近くにある木工屋さん。その店先に、人待ち顔の、これはフクロウ?ミミズク?



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最後に曙杉の足元。幹を見ると、ああ、やはり杉の仲間だ、と納得します。

by hanmaondo | 2010-01-20 19:59 | 当てずっぽう植物図鑑


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